岩手県ポルフィリン症友の会
代表 鈴木 司
〒020-0864 盛岡市西仙北2丁目20-9
☎ 019-635-7359
E-mail sakuratomonokai@amail.plala.or.jp
どのような病気ですか
人が生きていいくために呼吸によって酸素を肺胞から血液に含まれているヘモグロビンを構成している「ヘム」の鉄と結合してあらゆる細胞に運搬されますが、その「ヘム」は8つの酵素により順次作られています。急性間欠性ポルフィリン症(AIP)は3番目の酵素の働きが健常者の約50%に低下している者(遺伝子異常者)がある種の薬物、飲酒、心身の疲労(ストレス)、生理、妊娠・出産などによりそれまで作られていたポルフィリンとなる前の「ポルフィリン前駆体」が体内に蓄積し、次の項に記載しているような症状が出現します。誘引が特定されない場合が多くあります。
どのような症状がありますか
〇激しい腹痛が代表的な症状で、これに、便秘、下痢、背部痛・腰痛、嘔吐、頭痛、頻脈・高血圧など多彩な症状を呈します。急性間欠性ポルフィリン症(AIP)特有の症状がありませんので、激しい腹痛を訴えて受診して「急性腹症」と診断され、開腹手術された例や、臨床検査で異常がないので腹痛は精神的なものとされ、精神科入院となったり、あるいは、診断までの間に禁忌薬や誘発剤を処方され、症状がさらに悪化意識障害に陥った例もあります。急性発作により褐色尿を排出したり、蓄尿袋の尿が褐色に変色していることで、診断に至った例も見られます。適切な処置がとられない場合、死亡することもあります。
〇思春期の女性に好発することが多く、幼児期~学童期や閉経後に発症することは極めてまれ、とされていますが、薬剤(バルビツール系睡眠薬、抗けいれん薬、経口避妊薬、エストロゲン製剤、サルファ剤など)によって急性発作を起こす場合もありますので、薬剤の使用にあたっては十分注意が必要です(市販の薬剤の服用は控えたほうがいいようです)。家族に急性間欠性ポルフィリン症の患者がいる場合は、血縁関係者は遺伝子検査を行い、陽性と診断された方は薬剤の投与や体調管理など十分注意する必要があります。
◎ポルフィリン症はヘムを作る過程で必要とされるどの酵素に異常があるかにより9病型あり、急性間欠性ポルフィリン症はその中の一つです(アミノレブリン酸脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP)は病態の詳細が不明、ということで指定難病から除外されています。
どのような治療法がありますか
今治療法はありません。15%~20%ブドウ糖を含んだ点滴を1日2~3リットル行います。腹痛、下肢痛等の疼痛に対して安全薬であるモルヒネが処方されます。健常者に処方される「ボルタレン」は誘発剤ですので、避けなければなりません。安全とされている薬剤、禁忌とされている薬剤は臨床的法則が見出されていません。2013年8月から急性症状に対してヒトヘミン(商品名ノーモサング)が使用できるようになり、初めて発症した患者には有効なようですが、発症を繰り返す患者には効果が期待できない例もあります(ヒトヘミン(商品名ノーモサング)は根治薬ではありません。対症療法の一つです)。
患者は何人くらいいますか
ポルフィリン症患者は平成29年度末で医療費助成対象者は全国で32人です(病型別の受給者数は不明です)。